新型コロナウイルス感染症により飲食店の打撃が報じられるなか、航空業界もインバウンド需要が見込めず打撃を受けているとのニュースを目にします。大手航空会社は2023年度からは新卒を迎えるなど明るいニュースもあるのはちょっとうれしいところです。
今日は、格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションが資本金を75億円から1億円に減資するとの発表があったので「減資」について書いていきます。
減資によることによって会社のメリットとデメリットについて少しでも興味を持って頂けると幸いです。
減資とは
「減資」をするということは財務体質改善を図ること、今までの赤字を帳消しにしたり会社の規模を中小企業扱いにすることで法人税でのメリットを享受することにあります。
今回のように航空会社や上場している有名企業が「減資」をするというとニュースになりますが非上場会社ではよく行われている手法になります。私が担当しているベンチャー企業も毎年のように増資と減資を繰り返しております。資金調達も活発に行われていますが先行投資が多いのでどうしても創業期から数年は赤字を累積されています。その赤字を解消することを「欠損補填」といいますがリスタートをかけることがしばしばです。こういった経験からから「減資」のニュースは大変興味があります。
そもそも「減資」とは会社の資本金を減らすことです。
会社は株主から資金を提供してもらってそのお金をもって営業活動を進めていきます。(これ以外にも銀行などから融資を受けることもあります。)
減資のメリット
会社が「減資」を行うメリットは三つあります。
- 今までの赤字を帳消しにして経営再建を目指す
- 株主へ財産を払い戻す
- 節税
今までの赤字を帳消しにして経営再建を目指す
さきほども書きましたがこのことを「欠損補填」といいます。今までの赤字を0円にして再度スタートしてきますといった意思表示です。これにより会社の決算上の見栄えが良くなります。マイナスがあるよりはイメージはいいですよね。ただし、イメージや表現の問題ないので会社内部の体制が変わらないとまた赤字が増えていくことになります。新規事業を展開や不採算事業を取りやめなどですね。
株主へ財産を払い戻す
資本金を減らす方法には「有償減資」と「無償減資」が存在します。これは実際のお金が動いてるかどうかの違いです。前述した赤字を減らす行為は「無償減資」になります。会社の財務状況の見た目の変更になります。実際にお金を動かす場合の「有償減資」は出資してくれた株主にお金を戻して資本金を減らすパターンです。この場合は実際に利益は出ていませんが「みなし配当」という形で戻していきます。
今回のピーチ・アビエーションの場合は「無償減資」になる予定かと思います。実際に現金の支出が伴うので難しいものかと。
節税
税金のお話になりますが資本金が1億円1円以上の場合、「大法人」(大企業とおもってください)となります。「超」となると1億円は入りません。この資本金を「1億円」とすることで会社としてはだいぶ税金面では税金が減ったり、色々な特典を得ることができます。細かい部分は割愛しますが一番のメリットとしては都道府県に納付する税金がだいぶ押さえることができます。会社が赤字であっても税金を納めないといけないルールがあります。これを「均等割」といいます。個人の住民税でも存在しますが所得が少ないと免税される仕組みがあります。
まず、一つが資本金の金額と従業員数によりこの金額が決定するので一部減るメリットがあります。(ただし、区分が存在するので必ずしも減るとは限りませんが)
あと1億円を超えると「外形標準課税」という少し特殊な税金の支払いも発生してきます。こちらも資本金の金額に税率をかけて算出するのでだいぶ負担になることが多いです。都道府県にとっては大切な税収ではありますが。
減資のデメリットは?
デメリットに関しては「有償減資」と「無償減資」の二つに分けて書いておきます。
「有償減資」の場合
こちらのデメリットは有償と書いてあるとおり、会社の財産が目減りすることです。
メリットで書いてあることと反することになりますが会社の状況次第でどうするかを決定することが必要になります。
資本金を減らす行為に関しては株主の同意を得なくてはいけません。(株主総会で決める事項です。)会社規模が大きければ大きいほど物言う株主がいますので反発も免れないこともあります。
「無償減資」の場合
会社の信用度が低くなるという点があります。資本金が大きいということはそれだけ出資してくれている人が多いということです。その点に関して取引先や金融機関の信用は増していきます。一概に資本金のみではなく売り上げ規模など総合的に判断しますが。
この点に関してはある程度、株主などの理解を得ていたり金融機関などへの説明責任でカバーできるものかと思います。
今回のピーチ・アビエーションにあてはめてみると
プレスリリースによると<減資の方法>は貸借対照表の純資産の部における勘定科目の振替処理であり、純資産額に変動を生じるものではなく当社の業績に与える影響はございませんの一文があり「無償減資」であることがわかりました。
減資のメリットとは!?LCCピーチが1億円に減資!財務立て直しへ まとめ
おうち時間が増えたりしてネットやテレビを見る時間が増えたひとも多いと思います。一会社のニュースですが何が起きているか理解するためにも簡単でもいいので会社の財産状況などを読み解けるようになると視野が明るくなるものです。まずは簿記3級のテキストをながら見するにも良いのではないでしょうか。